【6月8日 AFP】哺乳類が繁栄するようになったのは6600万年前に地球への小惑星衝突で恐竜が絶滅した後だとする通説は誤っていると主張する論文が8日、発表された。

 この論文によると、われわれの祖先の温血動物は、大型肉食恐竜ティラノサウルス(Tyrannosaurus)や他の肉食恐竜がわが物顔で地球を闊歩(かっぽ)していた数百万年の間も繁栄し、拡散していた。さらに、小惑星が地球に衝突して半球に大嵐が巻き起こり、長期にわたる骨まで凍りつく地球の温度低下で、哺乳類は大きな打撃を受けていた。

 論文の共著者で、米シカゴ大学(University of Chicago)進化生物学博士課程学生のエリス・ニューアム(Elis Newham)氏によると「従来の見解では、哺乳類は『恐竜時代』に抑制されていた」という。

 新しい結論のカギは歯だった。

 K-Pg境界(白亜紀と古第三紀の境)よりも前の2000万年の間に存在した哺乳動物の臼歯数百個の分析で、極めて多様な形があることがはっきりと確認された。これは種の多様性とともに、食餌の多様性も示している。

 一方、小惑星の衝突後に哺乳動物の数が激減したことを発見した科学者らは、通説と一致しないとして驚いている。

 ここでもカギを握るのは歯だった。特化した食餌のみを摂取していたことを示す大臼歯を持つ哺乳動物は、何でも食べられる歯を持つ哺乳動物に比べて、天災を生き延びる可能性が低い。

 英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された研究結果の主著者、デビッド・グロスニクル(David Grossnickle)氏は、今日に通じる教訓があるかもしれないと述べた。

 世界は現在、気候変動を要因とする、地球史上6回目の大量絶滅を迎えつつあると科学者らは考えている。グロスニクル氏は「6600万年前に生き延びた種は、色々な種類の餌を食べる生物(ジェネラリスト)だったが、今後数百年、数千年後にどんな種が生き延びるかを知る指標となるかもしれない」(c)AFP/Marlowe HOOD