【6月7日 AFP】ロシア当局は6日、スポーツ界の不正を撲滅する活動の一環として、学校の必須科目に反ドーピングの授業を加える取り組みに着手したと発表した。露スポーツ省によると、欧州評議会(Council of Europe)と立案した「ドーピングへの社会的姿勢を改革するため」の新たな対策だとしている。

 ロシア陸上競技連盟(ARAF)はドーピングスキャンダルの捜査を受け、現在は国際陸上競技連盟(IAAF)から国際大会への出場を禁止されており、リオデジャネイロ五輪までに露陸連の資格停止処分を解除するためのロビー活動を必死に行っている。

 露スポーツ省は反ドーピングの授業について、「反ドーピングの授業は、国内の学校でカリキュラムに組み込む形で普及させ」、体育クラスとともに数百万人の子どもたちに届くようにすると説明。授業を開始する前には、「スポーツおよび薬学の分野におけるプロを育成する高等教育機関」のための反ドーピングクラスを実施し、「医師および医療関係者、コーチ、そして各スポーツ連盟関係者」の教育につなげるとしている。

 一方、露反ドーピング機関(RUSADA)では、世界反ドーピング機関(WADA)のガイドラインを基に、同国のスポーツエリートを訓練している3000校のスポーツスクールに向けて、特別なカリキュラムを開発する予定だとしている。

 反ドーピング問題でビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相のアドバイザーを務める関係者は、「本当の改革を実施するためには、アスリートに対してキャリアの最初から情報を伝えなければなりません」と話し、「まず初めに、正しい価値観を浸透させることが必要になりますが、この取り組みについては社会からの広いサポートがあることを期待しています。これはロシア全体が受け入れるべき変革です」と語っている。

 男子ハードルの世界王者で、第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)ではロシア新記録となる12秒98で金メダルを獲得したセルゲイ・シュベンコフ(Sergey Shubenkov)は、ドーピングと闘う国家の姿勢が変わってきていると実感していると明かす。

 シュベンコフはAFPの取材に対し、「反ドーピング規制の職員は、以前よりも抜き打ち検査に訪れる回数が増えた。以前は2~3か月に一度だったが、今では毎月となっている」と語った。

 陸上競技会でロシアの存在が危機に瀕しているなか、IAAFは露陸連の復権について、6月17日の理事会で決めるとしている。

 露陸連は昨年11月、WADAの独立委員会が行った調査で、国ぐるみのドーピングと大規模な汚職の証拠が発覚し、暫定的に資格停止処分が科されていた。

 ムトコスポーツ相は先月、過去に「反ドーピング規則に対して悪質な違反」を犯した選手については、五輪代表チームに選出しない方針を明らかにしている。(c)AFP/Gabrielle Tétrault-Farber