【6月6日 AFP】体は小さいものの筋骨隆々なことから、ギリシャ神話の英雄ヘラクレス(Hercules)にちなんで「ポケットヘラクレス」と呼ばれたボディービルダー、マノハル・アイチ(Manohar Aich)さんが、同国東部コルカタ(Kolkata)の自宅で5日、104歳で亡くなった。アイチさんの息子がAFPに電話で語った。アイチさんは、ボディービルディングのコンテスト「ミスター・ユニバース(Mr. Universe)」で1952年にインド人として初めて優勝した。

 身長150センチのアイチさんは、インド空軍のジムでインストラクターとして働いていた1942年にウエートリフティングを始めた。しかし、アイチさんはインド人について侮辱的な発言をした英国人士官に平手打ちを食わせてしまったことから、仕事を失って短期間服役した。刑務所では「看守が親切でトレーニングするのを許すどころか、励ましてくれた」ため、アイチさんは「見方を変えれば幸運だった」と現地紙による100歳の誕生日のインタビューで述べている。

 インドが独立した1947年にアイチさんは出所。同国東部の街コルカタに住まいを定め、ココナツ売りで生計を立てるようになった。しかし、ボディービルディングへの興味は消えず、「ミスター・ユニバース」に出場するため1951年に英国へ渡った。この年は賞を逃し、再挑戦するために当時の英国国鉄(British Rail)に職を得、翌年インド人として初の優勝を手にした。

 アイチさんの息子のマノジ・アイチ(Manoj Aich)さんは「父はよく、規律とは自分自身の内側に根差すと言っていた。父は腹筋運動や腕立て伏せなど、厳しい運動メニューを自分に課していた。食事は牛乳に果物、野菜、それに米や豆類と魚とシンプルで、それで健康だった。たばこも吸わず、酒も飲まなかった」と語った。(c)AFP