【6月5日 AFP】激しい衝突で注目を集めたインドのカルト集団は政府、軍隊、裁判所、刑務所のようなものまで運営していた。警察幹部が4日、AFPに明らかにした。

 インド北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州のマトゥラー(Mathura)で2日夜、市内の公園を約2年間にわたって不法占拠していたカルト集団のおよそ3000人と、強制排除に踏み切った警察が衝突し、これまでに警官2人を含む少なくとも24人が死亡した。

 数百のテントや小屋から文書などの証拠が押収された。ウッタルプラデシュ州警察のD・C・ミシュラ(D.C. Mishra)監察官は「彼らはさまざまな人が暮らす町のようなものを築き、徐々に独自の統治機関を運営するようになっていった」と話し、カルト集団は裁判所や刑務所を設置し、刑務所では拷問が行われていたと述べた。

 ミシュラ氏によると、カルト集団は「ゴッドマン」(ヒンズー教のカリスマ的な行者)を名乗る男たちによって運営されており、8歳の子どもにまで銃器の訓練をしていたほか、まもなく独自通貨も発行しようとしていたという。

 州警察は4日、カルト集団「スワディン・バラト・ビジク真理把握運動(Swadhin Bharat Vidhik Satyagrah)」の中心人物の一人、ラム・ラクシャ・ヤダブ(Ram Vraksha Yadav)容疑者が2日の衝突のさなかに死亡したと発表した。

 ヤダブ容疑者は動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿された複数の動画で、インド独立の英雄、スバース・チャンドラ・ボース(Subhash Chandra Bose)や、ボースが率いて英国の植民地支配に対して戦った「インド国民軍(Indian National Army)」への忠誠を誓っていた。また、このカルト集団の構成員らは、ソーシャルメディアに投稿された映像の中で「政治的・社会的革命家」を自称していた。

 流血沙汰となった強制排除で300人以上が逮捕されたが、カルト集団の中心人物4人はいまだ逃走中とみられている。

 インドには宗教がかったカルト集団が数多く存在し、「ゴッドマン」を自称するカリスマ的な人物が率いていることが多い。2014年には北部のハリヤナ(Haryana)州で、警察が今回とは別のカルト集団の指導者を殺人容疑で逮捕しようと強制捜査したところ、武装したカルト集団の支持者数百人と警官隊が衝突して少なくとも6人が死亡した。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA