【6月4日 AFP】2008年に行われた北京五輪の陸上男子4×100メートルリレーを制したジャマイカチームのメンバー、ネスタ・カーター(Nesta Carter)から禁止薬物の陽性反応が出たことが発覚し、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)が五輪で獲得した6個の金メダルのうち1つが剥奪される可能性が出てきた。

 ジャマイカ紙グリーナー(The Gleaner)は3日、北京五輪で採取されたカーターのA検体から、メチルヘキサンアミン(methylhexaneamine)が検出されたと報道。同紙は、信頼できる情報筋からのリークとして、B検体の検査結果は現時点で明らかになっていないとしているが、カーターがドーピング違反で処分を受けた場合、ボルトはリレーで獲得した金メダルを失うことになる。

 世界反ドーピング機関(WADA)の広報担当者はAFPに対し、メチルヘキサンアミンは「あらゆるカテゴリー」において、常に禁止薬物として扱われているとコメントしている。メチルヘキサンアミンは長年にわたって鼻腔用スプレーや栄養補助食品に使用されてきたが、サプリメントに含まれた物質が陽性反応を示すケースが続出し、2010年には禁止薬物に指定された。

 北京五輪の男子4×100メートルリレーで第1走者を務めた30歳のカーターは、マイケル・フレイター(Michael Frater)、アサファ・パウエル(Asafa Powell)、ボルトと共に37秒10の世界新記録を樹立し、トリニダード・トバゴや日本を抑えて金メダルを獲得した。

 カーターはまた、男子4×100メートルリレーのメンバーとして2011年、2013年、2015年の世界選手権(IAAF World Championships in Athletics)、2012年のロンドン五輪で金メダルを獲得している。

 リレーのメンバーが薬物検査で陽性反応を示したことにより、チーム全員がメダルを剥奪された事例は過去にもある。米国の男子4×100メートルリレーチームは、タイソン・ゲイ(Tyson Gay)の禁止薬物使用により、ロンドン五輪の銀メダルを剥奪されている。

 また、英国の男子4×100メートルリレーチームは、ドウェイン・チェンバース(Dwain Chambers)の薬物使用により、2003年の世界選手権で獲得した銀メダルを失っている。

 例外はマリオン・ジョーンズ(Marion Jones)の薬物使用により、一度はメダルを剥奪された米国の女子4×100メートルリレー、4×400メートルリレーチームだ。チームはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、2000年のシドニー五輪当時、リレーメンバーの1人がドーピング違反をした場合、チーム全体を失格にする明確な規定がなかったとして、メダル剥奪の処分は無効と判断された。(c)AFP