■「恥の文化」

 同センターで心のケアを担当するアスマ・サウド(Asma Saud)氏は、こういった性的暴行が「横行しているにもかかわらず、伝統の重みと恥の文化によって隠されている」と説明する。

 ガザ社会では、昔から伝統が大きな役割を担ってきたが、2006年の選挙でイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が勝利し、世俗主義の対抗勢力ファタハ(Fatah)と激しく衝突して同地区を単独で実効支配するようになって以来、その傾向はさらに強まった。

 PCDCRの調査によると、ガザ地区とヨルダン川西岸(West Bank)で調査対象期間中に性的暴行被害が確認された子ども693人のうち75%以上が、加害者と顔見知りだったという。

 8児の母で、6歳の娘が性的ないたずらを受けたというマハシム(Mahassim)さん(48)は、暴行に及んだのが娘の通う学校の職員だったと把握している。

 マハシムさんは訴え出たが、仲裁を申し出た第三者から、裁判沙汰にしないよう圧力を受けた。「慈悲の心を示して訴えを取り下げるよう諭された」というのだ。

 PCDCRのイヤド・アブ・ジャイエ(Iyad Abu Hjayer)副代表によれば、センターが対応に当たっている693件のうち、裁判を起こしたのは22家族だけで、しかも最終的にはほとんどが訴えを取り下げたという。ジャイエ副代表は、ガザ地区の「学校と家庭」における真の性教育の必要性を訴えている。(c)AFP/Sakher Abou El Oun