■論争の陰に希望の光も

 こうした取り組みに反発がないわけではない。前述の政府によるトイレ使用の指針に対しては11州の政府が異議を唱え、バラク・オバマ(Barack Obama)政権を提訴した。またシカゴ郊外の別の町では、男性として生まれたが女性の性自認を持つ生徒が女子更衣室内の個室の使用を許可されたことをめぐり、宗教の自由擁護団体が51家族を代表して訴訟を起こした。

 ルーリー小児病院でトランスジェンダーの子どものためのクリニックを統括しているロバート・ガロファロ(Robert Garofalo)医師は、トランスジェンダーの人々のトイレ使用に焦点が置かれることによって、より重要な問題が埋もれかねないと語る。

「これは、現代における公民権闘争とも言える」と同氏は言う。「トイレ使用についての議論の対象が若者の性器にさえ及んでいる現状は、政治的な議論をある意味ゆがめている」

 とはいえ、このトイレ論争にも希望の光は見えるという。トランスジェンダーの子どもたちのニーズに応えようとする小児科プログラムが増えていることなど、「良い影響も生まれている」と、ガロファロ氏は指摘した。(c)AFP/Nova Safo Derek Henkle