■過激派襲撃後にも豊尻手術

 セネガルの首都ダカール(Dakar)の皮膚科・性病科医、ファティマ・ライ(Fatima Ly)氏によれば、こうした製品の多くはステロイドを含んでおり、糖尿病や高血圧、昏睡(こんすい)を招きかねない感染症を引き起こす可能性もあるという。ライ氏によれば、ダカールのこういった「魔法の薬」は大抵、偽造医薬品で毎年数千人に被害を及ぼす深刻な公衆衛生問題となっている。

 一方、パッド入りショーツや矯正下着ならば、悪影響が出る可能性は低い。しかも価格は1枚9000CFAフラン(約1700円)程度とずっと手頃だ。

 ダカールでは、アフリカ料理でよく使われる「マギー(Maggi)」のキューブ状ブイヨンを、坐薬として使う技まであるという。「脂肪分が多いから、ヒップがボリュームアップすると女性たちは考えている」そうだが、マギー製品を扱うスイス食品大手ネスレ(Nestle)の西アフリカ地域担当は「ブイヨンはあくまで料理用」だと述べて効果を否定した。

 経済的に余裕のある女性には、海外で豊尻手術を受けるという選択肢もある。仏パリ(Paris)から毎月、飛行機でダカールを訪れるという形成外科医のロバン・ムカルジ(Robin Mookherjee)氏は、コートジボワールを主とする西アフリカの「何百人もの女性」に施術したと明かす。手術料は3000~4000ユーロ(約37万2000~49万6000円)だという。

 ムカルジ氏は2012年、マリ北部のトンブクトゥ(Timbuktu)がイスラム過激派の攻撃を受けた後にも、現地で女性たちの豊尻手術を行ったという。手術を受けた女性たちはイスラム過激派の脅威よりも、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)やキム・カーダシアン(Kim Kardashian)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)といったセレブの伝説的なヒップの方に関心があるようだったと述べた。(c)AFP/Joris FIORITI