【5月31日 AFP】中国の経済学の学生たちは「西側の理論に洗脳されて」おり、もっとカール・マルクス(Karl Marx)を読む必要があると訴える公開書簡を、同国の経済学者らが連名で教育省に提出した。

 世界第2位の経済大国である中国は現在、経済の減速に直面しており、必要とされている改革の導入に苦戦している。そうした中、今回の書簡は、中国の大学で経済学を学ぶ学生たちは、少なくとも半分はマルクス主義経済学で構成されるカリキュラムを学ぶべきだと主張し、そうしなければ学生たちは「社会主義経済体制の墓掘り人」になってしまうと危惧している。

 この動きは、メディア検閲や反政府活動家らの取り締まりを強化している習近平(Xi Jinping)国家主席が、大学に対する管理強化を中国共産党に要求した流れで、党のイデオロギーを教育現場に浸透させようという取り組みの一環。

 書簡に名を連ねた数十人の学者の中の一人は、中国共産党の機関紙・人民日報(People's Daily)系の国営英字紙・環球時報(Global Times)の31日の紙面で「これはブルジョワ階級とプロレタリア階級が教育において衝突するイデオロギー階級闘争の本質だ。社会主義の大学が、社会主義経済体制の墓掘り人になるような人物をどうして教育することが許されよう」と語っている。

 ただし書簡は、ドイツで生まれ、生涯の大半を英国で過ごした政治理論家で革命家、哲学者だったマルクスを「西側」とみなすべきかどうかという点については触れていない。

 昨年には教育相がいわゆる「欧米風の価値観」を推進する教科書は使用禁止にすべきだと発言するなど、中国共産党にとって学校はイデオロギー闘争の現場となっている。(c)AFP