【5月29日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)北郊のバラド(Balad)で28日、アリ・カイス(Ali Qais)さんは神経質そうにカフェのテレビで愛するサッカーのレアル・マドリード(Real Madrid)の試合を見ていた。

 レアルのジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督のポスターを前に、カイスさんが座っているソファーには2発の弾痕が残っている。

 今月13日、銃を持った男らがこのカフェに向かって銃を乱射し、手りゅう弾を投げ込んだ。当局によると、この襲撃で、カフェ店内で死亡した10人を含め計16人が殺害された。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したが、襲撃があった際の詳細な状況などは不明なままだ。

 カフェでの事件に対してはレアル・マドリードを含めサッカー界から多くの哀悼の意が示され、襲撃の次の日に行われたスペインリーグの今シーズン最後の試合で、選手らは黒い腕章をつけてプレーした。

「今夜は、単なるサッカー観戦ではない。ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)への挑戦だ」と、カイスさんは語っていた。

 カフェには多くの警察官らが配備され、店を警備するとともに、試合観戦に訪れた若者たちの身体検査を行うなどした。

 試合開始前には追悼式典が行われ、襲撃事件で兄弟や友人を亡くした多くの若者たちが犠牲者を悼んだ。(c)AFP/Jean Marc MOJON