【5月26日 AFP】わずか15年前、知る人ぞ知る、人によっては眉をひそめる喧嘩(けんか)大会だった「UFC(Ultimate Fighting Championship)」は、米ラスベガス(Las Vegas)出身の兄弟の手で生まれ変わり、今では総合格闘技(MMA)の世界を席巻するどころか、昔からの人気スポーツにも比肩する一大ブランドにまで成長した。

 2016年4月14日は、まだ浅いUFCの歴史においても、記念すべき日として記憶されるだろう。その日、米国で最後まで総合格闘技の参入を拒んできたニューヨーク(New York)が、ついに市内でのMMAの興行を認めたのだ。

 兄と共にUFCを創業したロレンゾ・フェティータ(Lorenzo Fertitta)氏は、この出来事を、パズルの中に残されていた最後の大きなピースかもしれないと表現している。

 カジノの世界で財を成したフェティータ兄弟は、2001年、わずか200万ドル(約2億円)でUFCを買収した。当時のUFCは、暴力的として話題に上る程度の無名競技団体だった。

 このころ、MMAの世界にも統一ルールが確立された。危険な技が排除され、以前とは異なる洗練されたイメージを築く土台ができると、その4年後に大きな転機が訪れる。それが、UFCの若手育成を追ったリアリティー番組「The Ultimate Fighter」の放映だった。

 あるスポーツマーケティングの専門家は、「格闘技にほとんど関心がなかった一般視聴者が、MMAやUFCを見るきっかけになった番組でした。北米の視聴者はあれで一気に啓蒙(けいもう)され、ペイ・パー・ビュー(PPV)で試合を見るようになったのです」と語る。