ノルウェー、性別変更要件を緩和へ 手術不要、6歳から可能に
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■トランスジェンダーの子を持つ親の思い
世界保健機関(WHO)によって現在も「人格障害」の一つと位置付けられているトランスジェンダー(性別越境者)の問題は、世界各国で感情的な論争を巻き起こしている。
米ノースカロライナ(North Carolina)州では、トランスジェンダーが出生証明書記載の性別に合わせたトイレを使用するよう義務付ける法律が成立し、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さんら著名人や大手企業などから抗議の声が相次いだ。
この分野での先進国である南米アルゼンチンでは2012年から、性別適合手術を受けたかどうかにかかわらず、法律上の性別を選ぶことが認められた。しかし、同国の性的少数者団体が行った調査によると、国内に暮らすトランスジェンダーの平均寿命は35歳に満たない。社会からのけ者扱いされ、差別を受け、就職先や住居の確保にも苦労することが多いトランスジェンダーは、絶望を深めているのだという。
ノルウェーの法案は、保護者の承諾が得られれば6~16歳の未成年者にも性別変更を認める内容だ。片親が反対した場合は、当局が「本人にとっての最善を考慮」して判断することになる。
「この法律ができれば、私たちにとってはいろいろと楽になります。どこかへ行く前に、何もかも用意しておく必要がなくなります。説明が必要なことは、すでにものすごくたくさんあるんですから」。首都オスロ(Oslo)に暮らす2児の母親、ソフィエ・ブルーネ(Sofie Brune)さんは語る。
6年前に女の子として生まれた第2子は、かなり早い段階で自分を男の子だと認識し始めた。なので、現在、地元の男子サッカーチームに所属し、学校で男の子として扱われていることも、自然な成り行きだ。「彼は幸せです。それが何より大事なことです。周りの子どもたちは、一度(事情を)説明したら、しっかり受け入れてくれます」(ブルーネさん)
トランスジェンダーの人々にとって一番大事なのは、自分の望む人生を生きることだ。トランスジェンダーのフリダ・ハスルン(Frida Haslund)さんはこう言っている。「自分らしく生きないうちに葬られたくはない」
(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES