■手術に至ったいきさつを公表

 マサチューセッツ総合病院の医師らは3年あまりの間、解剖用死体での訓練などを行い、陰茎移植術の研究に取り組んできた。医師らの目的は、この手法を完成させ、より広範囲の移植候補者、特に紛争地帯で生殖器に損傷を受けた兵士らに提供できるようにすることだ。

 米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙のインタビューで、マニングさんは、自分が珍しい型の陰茎がんにかかっていることを、2012年に医師らが発見したと語った。陰茎から腫瘍を除去すると、長さ約2.5センチの根本部分しか残らなかったという。

 がんと診断された当時、独身だったマニングさんは、排尿も座って行わなければならず、女性と親密な関係になることを恐れ、「誰にも近づけなかった」と語ったと、同紙は伝えた。「誰とも関係が持てなかった。自分が陰茎の切断手術を受けたと、女性に打ち明けることは不可能だよ」

 今回の移植手術の主な目的は、生殖器をより自然な外観になるまで再建する、患者が正常に排尿できるようにする、将来的に性機能が得られるようにする、の3つだった。

 マサチューセッツ総合病院・形成外科移植センターの医師、カーティス・シートルロ(Curtis Cetrulo)氏は「泌尿生殖器に破壊的な損傷を受けた人々は、失望のあまり自ら命を絶つことを考える場合が多いが、この種の再建術によって、そうした人々の苦痛や絶望感を緩和することができるのではないかと期待している」と話した。(c)AFP