【5月13日 AFP】イタリアのシチリア(Sicily)沖で12日、移民ら少なくとも800人が救助された。このうち150人ほどがシリア人だという。イタリア沿岸警備隊と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が明らかにした。

 今年に入ってイタリアに漂着したシリア難民の数としては今回が圧倒的に多い。欧州連合(EU)とトルコが交わした移民の送還合意によってギリシャとバルカン諸国経由での欧州ルートを断たれた移民らが、代替ルートをとっている可能性がある。

 国際移住機関(IOM)のフラビオ・ディ・ジャコモ(Flavio di Giacomo)報道官はAFPの取材に、今年に入ってからイタリアに到着した移民・難民ら3万1000人のうちシリア人は26人に過ぎなかったと指摘。今回の事案は「新しい動き」だと述べた。

 UNHCRのカルロッタ・サミ(Carlotta Sami)報道官がツイッター(Twitter)で明らかにしたところによると、約800人のうち342人はイタリア沿岸警備隊が救助。このうち少なくとも150人がシリア人で、40人以上がイラク人だという。

 欧州には昨年100万人を超える移民や難民が流入。バルカン諸国は今年2月に国境閉鎖に踏み切り、翌月にはEUとトルコがギリシャの島に到着した難民全員をトルコに送り返すことで合意した。4月の送還開始来、ギリシャを目指す移民らの数は激減した半面、イタリアが新たな主要上陸地になる懸念が高まっている。(c)AFP