【5月13日 AFP】第69回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で監督として初のメジャー映画『マネーモンスター(Money Monster)』を披露した米女優ジョディ・フォスター(Jodie Foster)さん(53)が12日、映画会社上層部の多くは女性の映画監督の起用について「リスクがありすぎる」としていまだに退けていると批判した。

 3歳から演技を始め、『羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs)』と『告発の行方(The Accused)』でアカデミー賞(Academy Awards)主演女優賞を2度受賞したフォスターさんは、米映画産業の中心地、ハリウッド(Hollywood)で監督としてのキャリアを切り開いた数少ない女性の一人。

 ハリウッドで女性が直面する問題について、撮影現場にいる女性といえばメーキャップアーティストか母親役の女優だけだった自分の子役時代とは大きく変わったとしながらも、いまだ変化がほとんどない分野の一つが監督業だと指摘。「映画会社の上層部は臆病だと思う。それだけ。そして『リスクが大きすぎる』というカテゴリーの中に、なぜか女性が入れられている」と強調した。一方で、自分は映画業界の中で育ったため、そうした男性ばかりの集団の一部となることは比較的容易だったと述べた。

 さらにフォスターさんは、米映画業界に女性を押さえ込もうとする男性たちの「大きな陰謀」があるとは思わないが、むしろ従来の形式にとらわれているのが実態だろうと語り、初起用の監督を信頼することや、数億円規模の映画を女性監督の手に委ねるビジョンを持つことが難しいとされていると指摘した。

 また女性についての映画は観客が見たがっていない、という考えについてどう思うかと問われると、フォスターさんは「それがどんな人たちなのか、私には分からない。私は人間の生き様を見たいと思う。人類の半分に関心を持たないなんていう人は見たことがない」と述べた。

 一方、『マネーモンスター』に出演した米女優ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts、48)はフォスターさんと対照的に、監督業は自分には向かないと語った。「だって、自分の知的限界も、忍耐力の限界も分かっているから。それに1時間で4人以上の人間からの質問に答えるなんて無理」と語って会見場の笑いを誘った。

 今年発表された米サンディエゴ大学(University of San Diego)の研究論文によると、米国の映画監督の中で女性が占める比率はわずか9%。また「欧州女性の音響映像ネットワーク(European Women's Audiovisual Network)」が今月発表した研究結果によると、欧州の映画で女性監督によるものは、5本にわずか1本の割合だという。(c)AFP/Fran BLANDY and Deborah COLE