【5月13日 AFP】今季のフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で開幕4連勝を飾り、ドライバーズランキングでトップを独走するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)は、無線ルールの厳格化で技術面の仕事が増えることに対し、持ち前の頭脳を駆使しながら喜んで取り組んでいる。

 ドイツ出身で30歳のロズベルグは、F1の新規則でチーム無線の使用が制限され、ドライバー個人のイニシアチブと事前準備の必要性が増したことを歓迎している。

 より「自由放任主義」的なアプローチでレースに臨む同僚のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)への当てこすりとも思えるが、ロズベルグは、無線による指示が禁止されたことで、ドライバーが他人のアドバイスだけに頼ることがなくなったという見解を示した。

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)北部のカタロニア・サーキット(Circuit de Barcelona-Catalunya)で行われるスペインGP(Spanish Grand Prix 2016)を控え、ロズベルグは、無線制限がF1の「操り人形」時代を終わらせたと話し、英誌「オートスポーツ(Autosport)」の取材でも、テレビ視聴者が「僕たちを見て、無線でエンジニアに操られる『人形』のようだ」と考えるのをやめただろうとコメントした。

 一方、ドライバーが「一人で助けを借りずに」マシンを駆らなければならない新たな無線ルールについて、3度の年間優勝を誇るハミルトンは、仕事の難しさが増すと話し、開幕前にも「とても厳しくなる」と難色を示していた。

 ロズベルグが開幕4連勝で総合トップに立つ一方で、同2位のハミルトンは、エンジントラブルが続発するなど不運が続いている。

「新ルールを気に入っている。もっと自分のレースができるからね」と話すロズベルグは、几帳面(きちょうめん)で教養が高いことで知られており、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の航空宇宙工学科に合格しながらも進学せず、レースドライバーになる道を選んだ。

「何より重要なのはレース前の準備だ。エンジニアがレース中に指示できないあらゆること想定し、より周到な用意をしている。集中力が高まり、強さと複雑さが増した。レースにとっては良いことだ。サーキットに出たら、自力で仕事をすることになる。それは本当にチャレンジで、気に入ってるよ」

 一方、識字障害により学生時代は大変な時間を過ごしたというハミルトンは、レースドライバーとしての資質を最大限に発揮して、スピードを出し切ることを楽しんでいると常に話している。(c)AFP