【5月12日 AFP】国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」系武装組織によって1年近くシリアで拘束された末に解放されたスペイン人ジャーナリスト3人のうちの1人が10日、スペインメディアのインタビューに応じ、人質を次々と殺害するイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に売り飛ばされることを恐れていたと語った。

 アンヘル・サストレ(Angel Sastre)さん(35)はニュースサイト「エルエスパニョル(El Espanol)」のインタビューに対し、「彼らが何をしたいのか、(拘束が)いつまで続くのか、わからない。殺されるのか、解放されるのか、または別のテロ組織に売られるのか」と語った。

「ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)に売り飛ばされるかもしれないと考えただけで、恐怖に襲われた」

 サストレさんは2015年7月13日、シリア北部のアレッポ(Aleppo)で、アルカイダ系武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」によって他のスペイン人フリージャーナリスト2人と共に拉致された。

 サストレさんによると、拘束が4か月続いた時点で、3人はニュース番組を見ることが許された。「CNNBBCで、私たちの周りで起きている戦闘について知ることができた。シリア内戦は、ほぼ毎日報じられていた。内戦の中にいながらも隔離された場所で暮らしているようだった」という。

「シリアに戻る予定はない。少なくとも今のところは。今、あそこで働くことは不可能だ。拉致は、もはや戦争の武器ではなく、有益なビジネスだ」

「誰も信用できないし、誰からも売られる可能性がある。通訳者、運転手、果物売り…働くには安全な場所ではない」

 スペイン政府は、3人を解放するに至った経緯について一切明らかにしていない。

 スペインのエウロパ通信(Europa Press)によると、3人は一時、昨年半ばにシリアで行方不明になった日本人フリージャーナリストの安田純平(Jumpei Yasuda)さんと共に拘束されていた。安田さんは、先月インターネット上に投稿された動画で、自らの解放に向けて日本政府の対応を求めるような発言をしていた。(c)AFP