■千載一遇の好機

 マリフアナ栽培の事業者らは、いつかワシントンでも嗜好用大麻が完全に合法化されることを切望している。

 ワシントンでは2015年2月以降、21歳以上であれば誰でも、2オンス(56グラム)までの大麻の個人所持と個人使用が可能になった。大麻の栽培も6株までならば可能だ。だが、嗜好用大麻の売買は、路上販売の爆発的増加につながるとして許可されていない。

 医療用や嗜好用大麻の使用を合法化する州は増えており、米国のマリフアナ市場は2014年の46億ドル(約5000億円)から、2020年には220億ドル(約2兆3900億円)規模に達すると予想されている。

■5キロ先のホワイトハウスが握るマリフアナ政策の未来

 オルタナティブ・ソリューションズでは、12の品種を丹精込めて栽培している。335平方メートルの栽培エリアは清潔で、マリフアナ特有の臭いは驚くほど発していない。

 同社の企業秘密の一つは、酸素と植物性の栄養素を添加できる、ろ過機能付きの高性能散水システムだ。ビデオ撮影や写真撮影は厳しく制限され、許可されなかった。

 84本のマリフアナの木は1日当たり約750リットルの水を必要とし、化学物質や農薬は使わずに栽培されている。収穫から製品になるまで、すべてが記録され、バーコードで追跡可能だ。温度調整や散水など栽培作業の多くはインターネット越しの遠隔操作。倉庫には保健当局と警察の検査が毎月入る。

 競合他社と同様、ローソンベーカーさんとシモンズさんは次期大統領が誰になるのか、神妙な面持ちで見守っている。ホワイトハウスはマリフアナ農場からわずか5キロのところにある。次期大統領のマリフアナに関する見解は、将来のマリフアナ政策を策定する上で大きな鍵を握るだろう。

 ローソンベーカーさんとシモンズさんは楽観的だ。ワシントンで栽培を行うための二つ目の免許をすでに取得しているほか、隣のメリーランド(Maryland)州の免許も認可を待っていて、東海岸全体に事業を拡大する計画がある。また今夏は、医療用の食用マリフアナの栽培も開始する予定だという。(c)AFP/Elodie MAZEIN