【5月11日 AFP】フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領(61)の仏社会党(PS)政権は10日、労働法改正案を議会での採決を経ずに強行通過させた。これを受けて議会で12日に内閣不信任決議案の採決が行われる。労働法改正案をめぐっては、反対派による大規模な街頭デモが2か月にわたって行われていた。

 この法案は与党・社会党内からも激しい反発を招いた。議会で法案通過の望みを絶たれ窮地に立ったオランド内閣は、論争の的となっている強行通過に踏み切った。雇用主が従業員の雇用・解雇をしやすくするこの改正案は、フランス現代史上最も人気のない大統領で、来年には再選の懸かる大統領選を迎えるオランド氏にとって最後の大きな法案となる見通しだ。

 仏憲法の規定に基づいて議会での採決を経ずに法案を強行通過させるこの戦術はオランド政権下で以前にも1度だけ、一部の観光エリアにある商店を対象に1年を通じて日曜日の営業を認めることなどを柱とした経済改革法案を通過させた際に使われたことがあるが、この時も物議を醸した。

 右派の2つの野党が内閣不信任動議を提出し、労働法改正案に批判的な左派の議員らにも支持を呼び掛けている。

 内閣不信任決議案の採決がどのような結果になっても、政府が憲法を盾に労働法改正案を強行通過させたことで、左派の有権者の間でオランド大統領の支持率がさらに下がるのは必至とみられる。

 世論調査の結果によれば、最近の大統領の中でも最も不人気のオランド氏は来年4月、再び大統領選挙を迎える。現在の支持率は13%となっている。(c)AFP/Gina DOGGETT, Martine NOUAILLE