【5月7日 AFP】(更新、写真追加)カナダ西部アルバータ(Alberta)州のオイルサンド地帯で発生した大規模な山火事で、延焼地域の中央に位置するフォートマクマレー(Fort McMurray)市中心部は「大部分が無傷」で残っている一方、周囲の近郊地区は深刻な被害を受けている。当局が6日、明らかにした。

 記者会見に臨んだレイチェル・ノトリー(Rachel Notley)州首相は、フォートマクマレー中心部は「大部分が無傷」で、病院や電話局、庁舎や空港は焼け残り、浄水場は稼働を再開していると述べた。しかし他の地区は、東方に広がった山火事の影響で壊滅的な被害を受けているという。住宅地の大半の部分では被害が食い止められているものの、街全体の状況は見通しが暗い。

 地元テレビが伝えた映像によると同日、警察の先導で1度に50台の車が深刻な被害を受けた地区から安全な場所に避難した。車列は時速50~60キロで進み、道中の交差点には警察官が配備され、車で避難する住民らが迂回などしないよう見守り、避難経路の安全を確保していた。また軍のヘリコプター3機が、避難する車列が進む道路に火の手が接近していないかなどを伝えるため上空で旋回していた。

 これまでに、2000棟の家屋が焼けたフォートマクマレー周辺の少なくとも1万2000ヘクタールを含め、計10万ヘクタールの森林が焼けた。

 フランスの国土面積に匹敵し、世界有数の原油地帯を有するアルバータ州には現在、非常事態宣言が出されている。

 ノトリー州首相は、避難住民約8万人に対する緊急資金援助として、州政府から約1億カナダドル(約80億円)を拠出することを明らかにする一方で、避難者が帰宅できるようになるまではしばらく時間を要するとの見解を示した。

 モントリオール銀行(Bank of Montreal)のアナリストの試算によれば、今回の大火災による損失額は合計60億ドル(約6430億円)に達する恐れがある。(c)AFP