■文化と言葉の壁

 文化と言葉の壁が難民と医療従事者を隔ててしまうこともある。「医療サービスを受ける権利があるのに、どこで受ければいいのか分からない人」も多いとビーチング氏は言う。

 HIVの問題もある。デンマークの研究者たちは、難民はHIV感染率が高いだけでなく、後に感染していると診断される可能性が高いことを報告した。

 これは公衆衛生に深刻な問題をもたらす。コペンハーゲン大学病院(Copenhagen University Hospital)の移民医療を担当しているラウラ・ディーン(Laura Deen)氏が指摘したように、HIV感染を自覚していない人から感染していくリスクが高まるからだ。

 最善の対処法は、難民の感染症罹患について早急な診断と治療が行われるよう徹底し、受け入れ国が医療サービスを提供することだ。

「そうすれば、難民、医療従事者、受け入れコミュニティーの健康状態が改善される」と、イタリアの公衆衛生専門家アルベルト・マテーリ(Alberto Matteelli)氏は語った。(c)AFP/Mariëtte Le Roux