【5月2日 AFP】ヒマラヤ山脈(Himalayas)で16年前、雪崩に巻き込まれて行方不明になっていた著名登山家の米国人アレックス・ロウ(Alex Lowe)さん(当時40)と、随行していたカメラマンの遺体が先週、氷河の中で発見された。ロウさんを追悼して設立された財団が声明で発表した。

 声明によると、登山家2人が先週、ロウさんと遠征隊のカメラマンだった同じく米国人のデービッド・ブリッジズ(David Bridges)さん(当時29)の遺体を発見。「氷に覆われた状態だが、一部が露出し始めている」という。

 ロウさんとブリッジズさんは1999年10月、中国のシシャパンマ(Shisha Pangma、標高8027メートル)の峰から米国人として初めてスキーでの滑降に挑戦した際、大規模な雪崩にのみ込まれた。

 雪崩から生還し、後にロウさんの妻と結婚、息子3人も養子に迎えたコンラッド・アンカー(Conrad Anker)さんは、遺体が見つかったことで遺族に「心の区切りと安堵(あんど)」がもたらされたと述べた。アンカーさんらは遺体を収容するため、シシャパンマを訪れることにしているという。

 ロウさんの元妻ジェニファー・ロウアンカー(Jennifer Lowe-Anker)さんは先月29日に発表した声明で、「アレックスの両親は息子の遺体が発見されたと聞いて感謝しています。私はコンラッドと息子たちと一緒に、シシャパンマへの巡礼に向かいます」と述べた。

 ロウさんは生前、世界有数の登山家の一人とみなされ、南北米大陸の最高峰、アルゼンチンのアコンカグア(Aconcagua)へのスピード登山に成功してからは、「脚の生えた肺」という異名でも知られていた。(c)AFP