【4月27日 AFP】アジア最大の総合格闘技団体「ワン・チャンピオンシップ(ONE Championship)」は、タイで初めての興行を前に、国技ムエタイの存在が脅かされることはないと主張した。

 責任者を務めるカモール・スコソル・クラップ(Kamol Sukosol Clapp)氏は、総合格闘技(MMA)初開催を控えるバンコク(Bangkok)のジムでAFPの取材に応じ、「それはイタリア料理がタイ料理を脅かすと言っているようなもの」とすると、「人々は新しいことに警戒感を示すものですが、その心配にはおよびません。互いにうまくなじむでしょう」とコメントした。

 ここ数十年で、MMAはマイナー市場から数十億ドルを稼ぐメジャー市場に成長し、アジアを含む世界各国で、最も急速に人気が高まっているスポーツの一つだ。

 多くのトップ選手が長年タイでトレーニングを積み、MMAでも、タイに伝わる攻撃的なキックボクシングのスタイルを取り入れる一方で、保守的なムエタイの選手や政府の高官らは慎重な姿勢を示し、一部では、タイの文化を守るために、MMAを永久に禁止するべきだと訴える声も出ている。

 1か月後には、1万人以上を収容する巨大アリーナを舞台に、MMAの試合が始めて開催されるが、これには反発の声が上がっており、先月にはタイ・スポーツ公社(SAT)の責任者が、イベントの開催について地元メディアを通じて激しく抗議している。

「この国で、あのようなスポーツイベントを行うことは、違法にするべきだ。あれはスポーツではない。残酷な行為だ」

 それでもタイの観光・スポーツ省の支援を受けて、試合は予定通り5月27日に行われることになった。クラップ氏は、ムエタイの指導者や地元ファンの間で、MMAに対する懐疑的な意見が徐々に変わってきたと感じており、「4年前だったら、興行は実現しなかったでしょう。今が絶好のタイミングなのです」と話している。

 タイ興行で予定されている2つのタイトルマッチのうち1試合では、一昨年MMAに転向したムエタイの元名選手、デェダムロン・ソー・アミュアイシリチョーク(Dejdamrong Sor Amnuaysirichoke)が、ストロー級の王座防衛戦に臨むことになっている。

 小柄でスピードとスタミナが持ち味の37歳は、ムエタイで300試合以上を戦い、MMAでは6戦全勝を誇っている。

 アミュアイシリチョークの対戦相手は、日本で修斗(Shooto)に参戦し、10戦全勝を記録している32歳の内藤のび太(Yoshitaka "Nobita" Naito)となっている。(c)AFP