【4月22日 AFP】21日に急逝した米歌手プリンス(Prince)さん(57)は、その絶大な影響力を持つ楽曲で音楽シーンに変革をもたらし、そして音楽業界の慣習に挑む「反逆者」へと変わっていった──。

 米ミネアポリス(Minneapolis)出身のプリンスさんは、1984年のアルバム「パープル・レイン(Purple Rain)」で世界的に名を馳せた。同アルバムは名盤ランキングでは常に上位につける。しかし、その一方で非常に多作だったことが引き金となり、次第にレーベルとの間の確執が表面化していった。

 近年では、エキセントリックな言動が話題となることが多くなり、自らの芸名を音声で伝えることができない「シンボル」に変えたり、公演を直前に発表するようになったりもしていた。また、メディアとの接触を極端に嫌っていたとも伝えられている。

 しかし、彼は単なる「とっぴ」な存在だったわけでなく、現代における最も才能あるアーティストの一人として世界的に高い評価を受けた。エレキギターをはじめとする数多くの楽器を極め、年齢を重ねても色あせることのない独特のファルセットで聴く人を魅了し続けた。

 だが、世界的な大スターとなった後も故郷のミネアポリス近郊に住み続けることにこだわり、自身のスタジオ「ペイズリー・パーク(Paisley Park)」を建てた。

 最新設備を整えたこのスタジオでは、アルバムの収録が行われた他、数々のパーティーも開催された。直近では16日にも開かれていた。また施設内の収蔵庫には過去の音源が数多くが置かれていた。そして今回、この場所でプリンスさんが死去した。

 人気絶頂期だった1986年に録音されたMTVとの希少なインタビューがある。ここで彼は、「自分は刑務所で暮らしているわけではない。何も怖くはない」と述べ、「自分の周囲に壁を築いてなどはいないし、他の人たちと同様に愛や水が必要だ」、「自分をスーパースターだなんて思わない。小さな町に住んでいるし、これからもそうしたい」などと語っている。