【4月21日 AFP】男子ゴルフ、元世界ランク1位のアダム・スコット(Adam Scott、オーストラリア)は20日、リオデジャネイロ五輪の不参加を表明した。これに対して、スポーツ界の往年の名選手からは反発の声が上がっている。

 現在世界ランク7位につけているスコットは、主にスケジュールが多忙であるとして、五輪では112年ぶりにゴルフ競技が復活するリオ五輪に出場しないことを決めたという。

 35歳のスコットは、バハマのマネジメント会社を通じて、「五輪の前後は、大会スケジュールのほかに、公私にわたるほかの仕事が多忙を極めているため、このような決断を下した」との声明を発表した。

 第77回マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2013)覇者のスコットはまた、「オーストラリア代表チームの主将イアン・ベーカーフィンチ(Ian Baker-Finch)氏や関係機関に意向を伝え、自分の立場を理解してもらっている。オーストラリアの五輪代表チームに対して、リオでの幸運を祈っている」とコメントした。

 この決断を受け、競泳の女子100メートル自由形で1956年から五輪3連覇を果たしているドーン・フレイザー(Dawn Fraser、オーストラリア)氏をはじめ、豪の元五輪選手からは即座に批判の声が続出した。

 フレイザー氏はフェイスブック(Facebook)で、「良くやりました、アダム。母国のことを差し置いて、自分のスケジュールを優先できるなんて、素晴らしいこと」と投稿。自身は三つの仕事をこなしながら五輪で目標を達成したこと明かし、「あなたは人生でいくら稼ぎたいのでしょう。私は競泳の五輪代表として、三つの仕事を掛け持ちしていたから、こういうことをするスポーツ選手に対して、堂々と意見を言えるのです」とコメントした。

 一方、ゴルフ界のレジェンドとして知られるジャック・ニクラス(Jack Nicklaus、米国)氏も、スコットの決断を悲しんでいる。

 この日、毎年6月に米オハイオ(Ohio)州で開催されているザ・メモリアルトーナメント(The Memorial Tournament 2016)の慈善イベントに臨んだニクラス氏は、「悲しいことだ。五輪とゴルフ界にとって悲しい」と報道陣にコメントした。

「アダムが直面している状況を知らないので、私には彼の対応にコメントできない。彼が五輪出場は無理と感じているのは明らかで、そうであるならば、私は理解を示せる。しかし、残念なことだ」

 前週には、フィジー出身でメジャー大会優勝経験者のビジェイ・シン(Vijay Singh)が、ジカウイルスの流行を懸念してリオ五輪の不参加を発表したばかりだった。

 五輪でゴルフ競技が行われるのは、1904年大会以来となる。(c)AFP