【4月20日 AFP】オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁で世界遺産(World Heritage)にも登録されているグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)で、サンゴの色が白くなる白化現象が全体の93%に広がっていることが20日、最新の調査で明らかになった。白化の被害が記録のある中では最悪であることが改めて確認された。

 今回の調査結果は地元ジェームズクック大学(James Cook University)などの研究者が発表した。上空と海中で詳細な調査を行ったところ、白化を免れているサンゴ礁がグレートバリアリーフ全体のわずか7%にすぎないことが分かった。

 オーストラリアの国立サンゴ礁白化対策チーム(National Coral Bleaching Taskforce)を率いるテリー・ヒューズ(Terry Hughes)氏は、「白化がこれほどまで広がっているのは過去に見たことがない」と述べている。

 グレートバリアリーフは豪東海岸沿いに約2300キロメートルにわたって連なっている。白化の被害は南側では小さく回復も早いとみられているが、最も手つかずの状態にある北側は非常に深刻だという。

 ヒューズ氏によると、調査した911か所のサンゴ礁のうち大規模な白化を免れているのはわずか68か所にすぎなかった。

 白化は、通常サンゴと共生して光合成を行う微小な藻類が海水温度の上昇など異常な環境条件によって失われることで起きる。海水温度が下がり、藻類が戻ってくればサンゴは回復するが、科学者らは昨年、太平洋赤道域東部の海面水温が平年よりも高くなるエルニーニョ現象の影響で、世界的に白化が進む恐れがあると警鐘を鳴らしていた。(c)AFP