【4月19日 AFP】紫の肌にオレンジの鼻、色とりどりの髪の毛を持つ「ザリ(Zari)」は、米国生まれの子ども向けテレビ教育番組「セサミストリート(Sesame Street)」のアフガニスタン版に登場する、同番組初のアフガン女性のマペットだ。ザリには「ガールパワー」というメッセージが託されている。

 今月アフガニスタン版でデビューした新キャラクターについて制作側は、女性(の教育の機会など)が全体的に男性に遅れている国で、男女平等への後押しとなることに期待を寄せている。

 ザリという名前には、ダリー語とパシュトゥ語で「きらめき」という意味があるという。伝統的な服装をしたザリは、好奇心旺盛で自信に満ちている。

 アフガニスタンの操り人形師マンスーラ・シルザド(Mansoora Shirzad)氏は、セサミストリートの収録スタジオでAFPに対し、「われわれの目標は、子どもたちを楽しませ、教育すること」と語った。

 アフガニスタンでは「セサミガーデン(Baghch-e-Simsim)」として知られる番組は2011年に放送が開始され、現在では最も人気の子ども向けテレビ番組となっている。

 今月7日にデビューし、これまで3話に登場したザリだが、今シーズンは、運動やスポーツをすることの素晴らしさを伝えたり、医師になるための方法について女性小児科医に話を聞いたり、さらには、友人らと伝統的なイスラム教の挨拶「Asalaam Alaikum(平安あれ)」を交わすようアフガニスタンの子どもたちに促すなど、やるべき課題が山積している。

 テレビ番組にお手本となる女性を登用するアイデアは――マペットであろうとなかろうと――、外国人には平凡にみえるかもしれない。しかし、1996~2001年のタリバン(Taliban)政権下で、数百万人の少女たちが学校から締め出された同国では、現状に対する勇気ある一撃であり続けている。

 一部の教育現場では改善がみられるものの、就学に関しては女性はまだまだ男性に後れを取っている。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)によると、男性の識字率が52%なのに対し、女性は24%だという。

 今後のシーズンでザリにアフガニスタンの仲間ができる可能性について、番組の制作側は沈黙したままだ。ただとりあえず今シーズンの26話では、アフガニスタンの子どもたちが自分たちの地元のマペットを楽しみにすることができる。(c)AFP/Mushtaq MOJADDIDI