【4月19日 AFP】米オルタナティブロックバンドのパール・ジャム(Pearl Jam)は18日、トランスジェンダー(性別越境者)ら性的少数者(LGBT)に対し差別的だと批判されている米ノースカロライナ(North Carolina)州の新法に抗議し、同州で予定されていた公演を中止すると発表した。同州では、同法に抗議するアーティストによる公演中止が相次いでいる。

 エディ・ヴェダー(Eddie Vedder)さんがボーカルを務める同バンドは、20日に同州都ローリー(Raleigh)で予定されている公演の中止を決定。ただし、後日に振替公演も行いたいと述べている。

 同バンドは声明を発表し、同州の法律は「米国民のうちの特定のグループへの差別を奨励する卑劣なものだ。影響は広範囲に及び、基本的人権に与える悪影響は計り知れない。米国には、人々が恋愛対象を理由にサービス提供を断られたり、ありのままの自分であるがために解雇されたりするような国になってほしくない」と述べた。

 同州ではこれまで、ロック歌手のブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さんが公演を中止した他、電子決済会社大手PayPalや独銀行最大手のドイツ銀行(Deutsche Bank)も事業撤回や事業計画の凍結を決定している。

 一方、米人気ポップ歌手のシンディ・ローパー(Cyndi Lauper)さんは予定通り公演を行う代わりに、収益の全額を同法の撤廃を目指す人権団体に寄付すると表明。パール・ジャムも同じく寄付を行う意向を示している。

 同法は、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーといったLGBTの人々に対する公共施設や公衆トイレでの差別阻止を州内の自治体に禁じる内容で、共和党のパット・マクロリー(Pat McCrory)知事の署名で先月、成立した。

 激しい抗議を受けたマクロリー知事は、州政府職員らが職場での差別から守られ続けることを強調しているが、同法で最も物議を醸している部分である、トランスジェンダーの人々に出生時の性別に応じたトイレの使用を義務付ける条項に関しては、依然として一歩も譲らない姿勢をみせている。(c)AFP