【4月19日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)を6度制している往年の名選手、ボリス・ベッカー(Boris Becker)氏が18日、運動能力向上薬の摂取が疑われる選手を見たことがあるという、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)の発言を批判した。

 世界ランク2位のマレーは、以前から、スポーツ界での薬物使用は言語道断だと主張しており、1月に行われた全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)のドーピング検査で、マリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)の検体が禁止薬物の「メルドニウム(Meldonium)」に陽性反応を示したことが明らかになったときも、同選手に出場停止処分が科されることを強く支持していた。

 モンテカルロ・マスターズ(Monte-Carlo Rolex Masters 2016)の準決勝で、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に敗れたばかりのマレーは、消耗しているはずが、そうならなかった選手がいると発言して物議を醸している。

 これに対し、王者ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を指導するベッカー氏は、証拠もなしに意見を口にするのは「不適切である」と批判。出席していたローレウス・ワールド・スポーツ・アワード(2016 Laureus World Sports Awards)の授賞式では、英大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)に対し、「われわれは抜き打ち検査を受けている。証拠がなければ、選手は100%無実だ」と反論した。

「ある選手がグランドスラムで優勝したとか、ますます調子を上げているからといって、臆測でものを言うのは不適切だ。アンディは絶好調な選手の一人で、時には圧倒的な強さをみせているが、彼のモラルを疑う者は誰もいない」

「アンディが潔白であることは100%確信しているし、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)も、ラファ(ナダル)も、全員クリーンだ。ノバクは何度も検査を受けている。グランドスラムでは毎回2度の割合だ」

 マレーは先日、英大衆紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)に対して「試合中に、対戦相手について『勢いが衰えそうもない』とか『消耗している気配がない』と感じることがある」と、物議を醸す発言をしていた。

「対戦相手を疑ったことはあるかって? ああ、いろいろ聞いている」

「テニスでは、技術を改良すればストロークやサーブが大きく向上するから、一概に言うことは難しい。フィジカル面に限った場合、6時間もの試合を繰り返して疲れをみせていないのであれば、疑惑が生じるだろう」

(c)AFP