「永遠の都」につかの間の歴史、W・ケントリッジ新作
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【4月15日 AFP】イタリア・ローマ(Rome)にこのほど、南アフリカ出身の美術作家ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)氏による「消えゆく」作品が完成した。市内を流れるテベレ川(Tiber River)の堤防に制作されたこの作品では、ローマの「英雄的かつ恥ずべき」歴史が巨大なスケールで表現されている。
テベレ川沿いに550メートルにわたって制作された「Triumphs and Laments(勝利と嘆き)」では、「永遠の都」ローマの歴史における決定的ないつくかの瞬間が、作家の独特な感性によって描かれている。
堤防の汚れを落とすことで形作られた作品についてケントリッジ氏は、大気汚染の影響で5年とは保たないだろうとコメント。汚れを落とすばかりで、新たに描き足すことなどはしていないという。
この作品は、悪化する環境の影響を、見る者にまざまざと突きつける。その一方で、個人および集団の記憶の本質的欠陥についても言及するものだとケントリッジ氏は説明する。
「持ち続けるべきものを我々は忘れてしまう。歴史的記憶は、社会が覚えておくべきものだが、忘れ去られてしまう」
「どの歴史にも、英雄的なものと恥ずべきもの、栄光と恥辱が混在している。それがこの作品のテーマだ」
この包括的なテーマの取り組みとして、ケントリッジ氏は、サン・ピエトロ(St Peter's)大聖堂の建設に代表されるローマでの絢爛豪華なルネサンスの栄光と、同時期に起きたゲットーへのユダヤ人隔離とを並べた。
ケントリッジ氏がこの場所を最初に目にしたのは約15年前。2011年には最初の素描を完成させたが、イタリアの悪名高きお役所仕事のためにプロジェクトは一時滞った。「本当に大変だったのは許可を得ることだった」と同氏は当時を振り返る。
作品はテベレ川の右岸に位置する。サン・ピエトロ大聖堂に近く、対岸にはかつてゲットーがあった。(c)AFP/Kelly Velasquez and Angus MacKinnon