【4月13日 AFP】ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏は、究極の「ガラスの天井」(社会進出を阻む目に見えない障害)を打ち破り、女性初の米大統領になるための史上最大のチャンスを手にしている。しかし、これが男性たちによって台無しにされる可能性はあるのだろうか?

 上院議員を2期、ファーストレディーを2期務め、米国が最重要指名手配犯としていたウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者を殺害した際には国務長官を務めるなど、肩書だけ見ればクリントン氏の右に出る候補は、ほぼいない。

 だが、今年の大統領選での民主党候補としての指名獲得は確実かと思いきや、左派系対抗馬のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員に白人男性票を奪われている。獲得できていない白人男性票の割合は、2008年にバラク・オバマ(Barack Obama)氏と闘った時よりもさらに大きい。

「完璧な人間などいないが、彼女(クリントン氏)は信用していない。ずる賢こすぎる。夫の方がましだ」。共和党の候補指名争いで首位を走るドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の選挙集会に来ていた男性(81)はこう語る。かつて無党派や民主党支持者だったこの男性は、今年は共和党に投票するという。

 この男性だけではない。キニピアック大学(Quinnipiac University)が最近行った世論調査の結果によると、白人男性の68%が、クリントン氏に対し否定的な意見を持っている。このところ、予備選でサンダース氏に連敗を喫していることからも、クリントン陣営が盤石とは言えない様子がうかがえる。先週ウィスコンシン(Wisconsin)州で行われた予備選では、サンダース氏が男性票の64%を獲得したとの出口調査結果を、CNNテレビは伝えている。

 男性有権者たちは、クリントン氏の経済対策手腕を疑問視し、同氏は日和見主義で不誠実、少数派の権利や銃規制を擁護し、自分たちのことなど気にも掛けてくれないと、不平を漏らしている。

 さらに、隠れた性差別、オバマ大統領に対する白人リベラル派の失望、サンダース氏の経済面での大衆迎合主義といった要素も、反発を招く原因とされる。