【4月8日 AFP】世界各国の要人や著名人らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用していた事実が暴露された「パナマ文書(Panama Papers)」スキャンダルで、アルゼンチンの検察当局は7日、マウリシオ・マクリ(Mauricio Macri)大統領のオフショア金融取引に関する捜査に乗り出した。この問題で、また新たな国家首脳に捜査の手が伸びた格好だ。

 パナマの法律事務所モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)から1000万点を超える内部文書が流出したことに端を発したこの一大スキャンダルでは、すでにロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領や中国の習近平(Xi Jinping)国家主席らの名前が取り沙汰されている。そこに、中南米で勢力を強めつつある右派のシンボル的存在になっているマクリ大統領が加わった。

 ただ、プーチン大統領や習国家主席については、両首脳に近い人物らの関与が明らかになっているのに対し、マクリ大統領は本人がオフショア企業2社の取締役になっている。1社はバハマ、もう1社はパナマで登記されている法人だ。

 アルゼンチンのフェデリコ・デルガド(Federico Delgado)連邦検事は、同国の公人に求められている宣誓した上での資産公開を、同大統領が「悪意を持って怠った」のかどうかを見極めるため、国税当局と腐敗対策機関に対し情報提供を要請するよう、判事に指示したことを明らかにした。

 マクリ氏は、2007年にブエノスアイレス(Buenos Aires)市長、昨年12月に大統領に就任した際にそれぞれ資産公開を行っているが、いずれの場合も当該2社の存在には触れていなかった。

 大統領選挙に出馬した際、腐敗との闘いを公約していた保守派の同氏は、両社共に実業家で富豪の父親が設立したもので合法的な事業活動を行っているとして、いかなる不正も否定している。(c)AFP/Paula Bustamante