【4月1日 AFP】国連(UN)は3月31日、中央アフリカに駐留する国連平和維持活動(PKO)部隊とフランス軍兵士らから性的虐待を受けたとして、これまで100人以上の被害者が名乗り出たと発表した。新たに浮上した疑惑には、少女に獣姦を強要するなどのおぞましい内容が含まれている。

 国連は同国中部のケモ(Kemo)州へ調査チームを派遣し、女性や少女らから聞き取りを行った。それによって明らかになった内容に、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、「心底衝撃を受けた」という。

 国連のステファン・デュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は、「派遣された多くの兵士らが、人々を守るどころか、邪悪な心を抱いて行動していたという事実から目を背けてはならない」と述べた。

 デュジャリック報道官によると、国連の人権専門家らがこれまでに聞き取り調査を行った被害者の数は108人に上り、「そのうちの圧倒的多数」が未成年の少女らで、外国人兵士らからレイプや性的虐待・搾取を受けていたとみられる。

 フランス軍が展開する「サンガリス作戦(Operation Sangaris)」に参加している部隊の兵士たちが、わずかな金銭と引き換えに少女らに動物との性行為を強要したとの証言も寄せられた。

 PKO部隊の性的虐待疑惑を調査している非政府組織(NGO)「エイズフリー・ワールド(AIDS-Free World)」によれば、少女3人が国連の人権問題担当官に対し、2014年にサンガリス作戦の部隊指揮官によって基地内で縛られ、服をはぎ取られて犬との性行為を強要されたと話したという。

 事実ならば中央アフリカに派遣されたPKO部隊が過去に見舞われた中でも最も深刻な疑惑となるが、同報道官は「真偽は未確認だ」と強調している。

 フランスのフランソワ・デラットル(Francois Delattre)国連大使と米国のサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使はいずれもこの疑惑について「胸の悪くなるような」ものだと非難した。

 デラットル大使によると、フランス当局は報告された事例について「徹底解明する」意向を示しており、事実と認められれば「懲罰および懲戒処分」を科す方針だという。

 新たな疑惑を受け、国連安全保障理事会(UN Security Council)は非公開会合を開いた。その後、米国のデービッド・プレスマン(David Pressman)国連次席大使は、虐待が「まん延し組織的に行われている」様子がうかがえると指摘。「極めて憂慮すべき」事態だと表現し、「迅速で徹底的、緊急の対応」を要するという考えを示した。

 またゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官も、「石を一つ残らずひっくり返す」ような綿密な調査を要求した。(c)AFP/Carole LANDRY