【3月31日 AFP】米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(69)は30日、違法な人工妊娠中絶をした女性は処罰すべきだと述べた。発言は激しい批判を呼び、トランプ氏は後にこれを撤回した。

 トランプ氏は米MSNBCテレビのインタビューで「中絶は処罰すべきとの考えか」と問われ、「何らかの形での処罰があるべきだ」と回答。聞き手から「それは中絶した女性に対してか」と尋ねられると「そうだ。何らかの形であるべきだ」と答えた。中絶は「禁止」すべきだとも語った。

 民主党員や無所属で政治活動を行った経歴を持つトランプ氏は、最近になって中絶反対(プロライフ)の立場に転じた。米国で中絶は合法だが、共和党員の多くは強い反対の立場を取っている。熱い論争の的となっている中絶問題について、考えを二転三転させるトランプ氏はこれまでにも非難を浴びてきた。

 今回の発言には中絶支持派のみならず、中絶反対派の主要団体からも非難の声が続出。民主党のライバル、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官も、トランプ氏が選挙戦で女性蔑視や反イスラム発言で何度も物議を醸してきたことを念頭に、「これ以上ひどくはならないと思っていたところなのに。おぞましく、多くを物語る発言だ」とツイッター(Twitter)上で批判した。

 非難の嵐にさらされたトランプ氏陣営はその後、声明で「仮に中絶が米国の連邦もしくは州の裁判所によって禁止されれば、中絶で法的な責任を負うのはこの違法行為をする医師らであって、女性ではない」と述べ、発言を撤回。「この場合、子宮の中の命と同様にその女性も犠牲者だ。私の立場は変わっていない。(元米大統領の)ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)のように、例外を認める中絶反対の立場だ」とも主張した。(c)AFP