■「自分の体を好きにして何が悪い」

 社会学者で「アイデンティティーの証:タトゥー、ピアス、その他のボディーマーキング」という著書があるダビド・ルブルトン(David Le Breton)氏は、見た目を変えたいという欲求は「『自分の体を好きにして何が悪い。それに、誰かにだめだと言われるのは我慢ならない』という主張の表れ」と分析している。

「自分の体は自分で作ったものではないと感じている10代の少年少女にとって、(タトゥーを入れるのは)自分の体を取り戻す手段だ」と、ルブルトン氏は言う。「体にマーキングすることで、『これは他の誰のものでもない、私自身の体だ』と訴えようとしている」

 ティーンエージャーがどれだけ自分の体を変えたいと思っても、欧米の大半の国では明確な規定が設けられている。未成年者の場合は保護者の書面による同意が必要で、さらに施術時に親の同伴を求めるタトゥーアーティストも多い。

 世論調査会社ハリスポール(Harris Poll)の2012年の調べによると成人の5人に1人が少なくとも1つのタトゥーを入れている米国には、タトゥーをはじめボディーアートを規制する連邦法はない。50州のうち大半が、親の承諾さえあれば未成年者のタトゥーも認めている。

 ベルギーで開かれた第2回欧州タトゥー・入れ墨研究学会のため昨年発行された「タトゥーが施された皮膚と健康」という報告書によると、欧州では成人人口の10~20%に当たる約1億人がタトゥーを入れているという。

 仏パリ(Paris)郊外のタトゥーアーティスト、コリーヌ・ドゥボスク(Corinne Dubosque)さんは、ほとんどの親は現実主義的だと言う。「親たちはどうせ(子どもたちは)タトゥーを入れると分かっているので、せめて衛生的な店かどうか直接見て確かめようと店に来るのよ」

 ティモテさんはタトゥーを入れる行為を「ボディーチューニング」と表現している。またクレモンティーヌさんは、自分のピアスは若者らしい反抗心にも政治にも無関係で、「単に見た目の話」だとしている。当然、ファッション感覚も大きい。

 ルブルトン氏は、「若者は流行を追いたがり、友人や俳優、歌手、サッカー選手や水泳選手のまねをしたがるものだ」と指摘している。(c)AFP/Marie Giffard