【3月28日 AFP】中国で習近平(Xi Jinping)国家主席の辞任を要求する匿名の書簡が公開された問題で、中国当局が取り締まり強化の一環として、在外の中国人民主活動家の家族や親族の身柄を拘束しているという。ドイツ在住の中国人ジャーナリスト、長平(Chang Ping)氏が27日、声明で発表した。

 長氏は中国政府に批判的な記事を掲載する中国紙「南方週末(Southern Weekend)」の上級記者だったが、政府にはもっと透明性と説明責任が必要だと論じたことから当局の圧力が強まり、ドイツに移住した。時事問題の評論家として名高い。

 中国の人権問題を伝えるニュースサイト「チャイナチェンジ(chinachange.org)」に掲載された長氏の声明によると、中国南西部の四川(Sichuan)省に住む長氏の弟2人と妹1人が、習氏の辞任を求めた書簡の作成に関与した疑いで地元当局に身柄を拘束されたという。

「中国に暮らす親類が多数、当局の捜査対象となり、嫌がらせや脅迫を受けている」と長氏は記し、こうした事態は同氏が公開書簡に関する記事を書いたりインタビューを受けたりした後に起きたと説明した。当局は長氏の親類たちに対し、中国共産党に対する批判をやめろと長氏に要求するよう働きかけ、従わないなら何らかの方法で家族を起訴すると脅したという。

 長氏の家族が拘束された件は、中国当局が習氏の辞任要求書簡に関与したとみなした人々に脅しをかける取り締まりを強化していることを示している。先週には米ニューヨーク(New York)在住の民主活動家、温雲超(Wen Yunchao)氏が、南部・広東(Guangdong)省に住む家族3人が当局者に連行されたと述べたばかり。

 2人とも問題の書簡への関与は一切否定している。

 AFPが入手したこの書簡は、習氏の中央集権化や経済政策の失敗、思想統制の強化を叱責。そのため「われわれは政治、経済、外交、思想、文化の面で未曾有の課題と有事に直面している」として、国のために辞任するよう習氏に要求していた。(c)AFP