【3月26日 AFP】(更新、写真追加)シリア政府軍は25日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている同国中部の古代都市遺跡パルミラ(Palmyra)の城塞を、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」から約10か月ぶりに奪還した。シリア国営テレビが軍関係筋の情報として伝えた。

 それによると、シリア政府軍は「民間防衛部隊と協力し、テロリスト組織ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)の戦闘員に多数の損害を負わせた後、パルミラ城塞を制圧した」という。

 13世紀に建造されたこの城塞は、パルミラの主要な遺跡。ISは昨年5月23日にパルミラを掌握し黒いISの旗を掲げた後、遺跡内の建造物の爆破や文化財の略奪を行い、遺跡管理当局の元責任者ハリド・アサド(Khaled al-Assaad)氏を殺害するなどして、国際的な懸念を呼んでいた。

 シリア国営テレビによれば、政府軍と親政府派部隊はロシア空軍の支援を受け、空港などパルミラ市街地のおよそ半分を制圧。イラク国境に通じる幹線道路も掌握した。

 また、シリア文化財博物館総局のマムーン・アブドルカリム(Maamoun Abdelkarim)総局長は、政府軍がパルミラ市内のホテルやレストランが立ち並ぶ地区や、パルミラ遺跡の「墓の谷(Valley of the Tombs)」も「解放した」と説明。部隊はISに爆破された「ベル神殿(Temple of Bel)」から600メートル手前まで迫っているが、埋設された地雷や遺跡保護の点から進軍速度は速くないと述べた。(c)AFP