【3月24日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシア水泳界が「組織的な」ドーピングを行っている疑いがあるとして、調査を開始すると発表した。

 ロシア陸上界では、WADAの報告書により国ぐるみのドーピングが発覚し、現在は国際大会への出場を禁じられている。そして英紙タイムズ(The Times)は23日、ロシアの水泳界における状況も、似たようなものだと報じた。

 WADAは声明で、「これらの情報はWADAや、その反ドーピング活動に協力してくれる方々にとって心配の種になる。とりわけ、クリーンなスポーツがすでに危機的な状況にいるときには」と述べた。

 タイムズ紙は、ロシア陸上界のドーピングを立案・指導したとされるセルゲイ・ポルトゥガロフ(Sergei Portugalov)医師が、ロシア水泳代表チームの選手に対し、運動能力向上薬を摂取するよう勧めたと報じている。実際に、モスクワ(Moscow)で行われた大会で、プール脇に「丸薬や内服薬」が置いてあったと証言している人もいるという。

 同紙は、造血剤エリスロポエチン(EPO)の摂取によりドーピング違反を犯した2人の水泳選手が、発覚後も罰せられていないことに触れ、証言者は報復を恐れて公表できなかったと伝えている。

 WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、「このたび持ち上がった、ロシア水泳界における組織的なドーピングの疑いは、徹底的に調査される必要がある」とし、スポーツの高潔さを守るため、厳しい問題に直面していることは分かっていると述べた。

 WADAはすでに国際水泳連盟(FINA)へ書簡を送ったことを明かしており、陸上界から永久追放されているポルトゥガロフ医師に関する新たな疑惑を受け、懸念していると述べた。

 FINAは、ロシア陸上界におけるドーピング問題が明らかになってから、ロシア人選手に関係するドーピング対策に「強硬な」姿勢で臨んできたと話している。(c)AFP