【3月23日 AFP】22日にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)の空港と地下鉄で発生し計35人前後が死亡した連続爆発事件で、空港で自爆した男らが、手荷物の中に爆弾を仕込んでいたことが分かった。地元市長がAFPに対し明らかにした。

 少なくとも14人が死亡した爆発が起きたブリュッセル国際空港(Brussels Airport)があるザベンテム(Zaventem)市のフランシス・ベルマーレン(Francis Vermeiren)市長は「彼ら(自爆犯ら)はスーツケースを持ってタクシーで到着した。爆弾は手荷物の中に仕込まれていた」と説明。

「スーツケースをカートに載せた後、爆弾のうち最初の2つが爆発した。3人目も(爆弾入りスーツケースを)カートに載せたが、パニックを起こしたのだろう。爆発はしなかった」と語り、3つ目の爆弾は専門チームによって爆破処理されたと付け加えた。

 ベルギー連邦検察はこれに先立ち、3人目の容疑者の男の行方を追う大規模な捜索を開始したと発表していた。警察が公開した監視カメラ画像には、白いジャケットと黒い帽子を身に着けあごひげを生やしたこの男が、大きな黒い手荷物を載せたカートを押す姿が写っている。

 当局が先に公開していた写真には、この男が同じく手荷物を載せたカートを押す別の2人の男と一緒に行動している姿が映されていた。

 事件については、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。

 隣国フランスの首都パリ(Paris)では昨年11月、ISによる同時テロで130人が犠牲になったばかり。そのわずか4か月後に、今度は欧州の首都的な機能を担うブリュッセルで、空港や地下鉄という主要な場所が過激派の標的にされたことで、欧州のテロの脅威への対応能力に新たな疑問が生じることは必至だ。

 ブリュッセルでは4日前に、パリ同時テロの主犯格とされるサラ・アブデスラム(Salah Abdeslam)容疑者が逮捕されたばかりで、当局に対しては、なぜ過激派を野放しにし、活動を許してしまったのかという問いも強まっている。

 シャルル・ミシェル(Charles Michel)首相は「ベルギーがこれまでに直面した最悪規模の攻撃」を受け、「きょうは悲劇の日、暗黒の日だ」と述べ、3日間の国喪を発表。またフィリップ(Philippe)国王も、「卑劣で邪悪な」攻撃を強く非難した。(c)AFP