【3月22日 AFP】オランダ・ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(ICC)は21日、2003年に中央アフリカ共和国に派遣した部隊によるレイプや虐殺行為をめぐる戦争犯罪で起訴されていたコンゴ(旧ザイール)のジャンピエール・ベンバ(Jean-Pierre Bemba)元副大統領(53)に対し、有罪判決を言い渡した。

 ICCが、戦争時の「武器」としての性的暴力を認定したのも、配下の部隊が及んだ行為に対する司令官の責任を全面的に認めたのも、今回が初めて。人権団体は早速、判決を歓迎する声明を出している。

 ICCは、ベンバ被告が、中央アフリカ共和国のアンジュ・フェリックス・パタセ(Ange-Felix Patasse)大統領(当時)に対するクーデター計画を阻止するために同国に派遣した「コンゴ解放運動(MLC)」の兵士1500人を「実質的に指揮統制する」立場にあったと指摘。戦争犯罪と人道に対する罪、全5件の罪状全てについて有罪判決を下した。

 シルビア・スタイナー(Sylvia Steiner)裁判長は法廷で、MLCの部隊がクーデター阻止に向けて活動する一方で故意に民間人を狙ってレイプ、残虐行為を行った詳細を読み上げた。

 レイプ被害を受けた人々には男性や女性、子どもも含まれていた。ある事件では、同じ家族内の3世代がMLCの兵士らに銃を突きつけられ、他の家族の目前で集団レイプされた。

 スタイナー裁判長は、ベンバ被告が配下の部隊と常に連絡を取り、「直接的に作戦命令」を下して現場で何が起きているかを把握しておきながら、暴力行為の抑止を怠ったと述べた。

 ベンバ被告は2008年にベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で逮捕されて以来、ICCに勾留されている。量刑は後日言い渡され、最大30年間の禁錮刑か、ICCが「罪の極度の重大さにより正当」と判断した場合は終身刑を科される可能性もある。ベンバ被告は上訴する見込みだ。(c)AFP/Jo Biddle