【3月22日 AFP】イタリアで保護種に指定されているヒグマ1頭の死骸が21日、同国北東部のトレンティノ・アルトアディジェ(Trentino Alto Adige)州で発見された。同州が発表した。毒殺の可能性があるという。

 大型のヒグマが道路脇に横たわっているのをトラックの運転手が発見した。このヒグマはヨーロッパヒグマの8歳の雄で、発見された時、死後2、3時間が経過した状態だったという。同地域では、ほぼ1年前にも、ヒグマが毒殺される事件が発生している。

 州は声明で「これまでの情報によると、死因は毒殺とみられる。こうした情報は、他の分析によって確認される見通し」だと述べた。

 当局によると、イタリアにはトレンティノ・アルトアディジェ州とベネト(Veneto)州の間の山岳地帯を中心に、約50頭のヨーロッパヒグマが生息している。また、同国中部には、ヒグマの亜種のマルシカヒグマが同じく50頭ほど生息しているという。

「再野生化」計画の下、西欧の各地域にヒグマが再導入されたが、家畜が襲われるなどしたため、地元の人々は近年、ヒグマに敵意を向けるようになっている。東欧では、ヒグマは絶滅に直面したことはない。

 雄は最大で体重350キロ、雌は200キロにもなるヒグマは、人間の追っ手を容易に振り切ることができる。後ろ足で立った時の身長は、最大で2メートルに及ぶ。雑食性で、液果類や木の実に加えて小動物、ヒツジや子牛などの大型の動物も食べる。

 世界自然保護基金(WWF)によると、ヒグマは、他の動物の個体数の抑制や、ふんによる「種子散布」などに重要な役割を担っているという。

 イタリアの自然保護官らによると、クマに襲われる統計的確率は、ハイカーが崖から落下したり、車にひかれたり、リードが外れたイヌに攻撃されたりする確率よりも低いという。(c)AFP