【3月22日 AFP】キューバ訪問中のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は21日、首都ハバナ(Havana)でラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長と会談し、両国の違いは脇に置いて新たな関係を目指していくことで一致した。

 両首脳は、カストロ議長の兄フィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長が1959年のキューバ革命以降、共産主義国家の最高指導者として長年君臨した革命宮殿(Palace of the Revolution)で、2時間以上にわたって会談した。

 カストロ議長は、人権問題や米国による対キューバ経済制裁など「深い」溝が依然として存在するとの認識を示し、キューバが政治犯を拘束していると認めることは断固拒否した。一方で、2013年にキューバから米フロリダ(Florida)州までサメよけのおりを使わずに泳いで渡る偉業に5度目の挑戦で成功した米ベテラン遠泳者、ダイアナ・ニヤド(Diana Nyad)さんの例に言及し、「彼女にできるのなら我々にもできるはずだ」と述べた。

 これに対し、現職米大統領として88年ぶりにキューバを訪問したオバマ大統領は、冷戦(Cold War)時代に対立していた両国関係が「新たな日」を迎えたと、スペイン語で歓迎の意を表明。「キューバの運命は、米国やその他の国家によって定められるものではない」と述べ、過去に米国がキューバに対して行ってきた干渉政策からは距離を置く姿勢を示した。

 ただ、共産党が政治や経済、メディアを統制するキューバにおける政治的自由を推進する米政府の働き掛けは継続すると、オバマ大統領は強調。米国は「民主主義を代表して率直に声を上げ続けていく」と語った。(c)AFP/Andrew Beatty and Sebastian Smith