【3月17日 AFP】ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領は16日、汚職疑惑で捜査対象となっているルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)前大統領を官房長官に任命した。しかし、ルセフ大統領がルラ氏にかけた電話の内容が連邦捜査当局によって公開され、首都ブラジリア(Brasilia)と最大都市サンパウロ(Sao Paulo)では怒った市民らによる大規模な抗議デモが起きている。

 問題の通話は同日、ルラ氏の電話を盗聴していた警察によって録音されたもので、ルラ氏の捜査を担当するセルジオ・モロ(Sergio Moro)連邦判事が公開した。通話の中でルセフ大統領は、ルラ氏を官房長官に任命する公式な大統領令を送付するので「もし必要ならば」それを利用してもよいと述べていた。

 ブラジルでは閣僚の起訴には最高裁判所の承認が必要となる。そのため、この通話内容については、ルセフ大統領がルラ氏の刑事訴追免責を狙って官房長官に任命した証拠との見方が広がっている。

 ブラジリアでは16日夜、約2000人規模のデモが自発的に始まり、ルラ氏の官房長官辞職とルセフ大統領の退陣を要求するとともにモロ連邦判事への支持を表明した。サンパウロでも数千人規模のデモが起き、「辞任しろ」とシュプレヒコールを上げた。(c)AFP