【3月16日 AFP】自らが選んだ分野で10年間も第一人者として君臨し、国際的なタイトルを18も保持している韓国のプロ囲碁棋士・李世ドル(イ・セドル、Lee Se-Dol)氏(33)の名は、米グーグル(Google)傘下の企業が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁(AlphaGo)」との対局が世界的な注目を集めるまで、主に北東アジアでしか知られていなかった。

 しかし、そうした状況が一変したのは先週、開発者らが「直感」を生かした新しいタイプのAIだと豪語するコンピュータープログラムと李氏が5番勝負に臨んでからだ。

 李氏は第4局では一矢を報いて1勝したが、最終局でもアルファ碁に敗れて1勝4敗となり、プライドを傷つけられた。

 李氏は最終局の後に行われた懇親会の席で、密着していた韓国の中央日報(Joongang Ilbo)の記者に「プロとして恥ずかしい」と語った。

「対戦相手がコンピューターだということで感情的に動揺してしまった。乗り切らねばならなかったのにできなかった」

「アルファ碁は確かにうまいが、神のレベルではない。プロ棋士としては、ああいう対局はもうやりたくない。やりづらくて仕方ない」(c)AFP/Jung Ha-Won