■セクシー戦闘員「ジホッティー」

 事実、ISが若い女性を勧誘するソーシャルメディア戦略の一環としてハンサムな若い男を意図的に起用しているという報告もある。このような男は「ジハード(聖戦)」という単語と「セクシーな人」という意味の「ホッティー」という単語を合わせて「ジホッティー(jihottie)」と呼ばれることもある。

 こうした男たちに憧れる少女たちは、年齢から考えても「イスラム教について何も知らなかっただろう」とミルザさんは語る。「私も毎日放課後にコーランのクラスに通いましたが、その本質を理解するには何年もかかったんですから」

 シリアに向かった少女たちは過激化していたどころか「頭の中は宗教のことではなく、セックスのことしかなかったと思いますよ。あの子たちは完全に欧米、英国の現代っ子で、米国がイラクに侵攻したときはまだ3歳だった。そんな子たちが『欧米に復讐』なんてどんな冗談ですか」とミルザさん。「交際相手としてふさわしくない男の子と駆け落ちして親をカンカンに怒らせる。これ以上英国の女の子らしいことがあります?」

 家の方針が厳しかったというミルザさんは「一人での外出も、学校の旅行への参加も、白人の友達を作ることも、着たい服を着ることも許されたことはありませんでした」という。

 しかしイスラム教徒の女の子たちは二重生活を送ることを覚えるという。「外出するときは全身を覆う服を着るんですけど、トイレでミニスカートに着替えるんです。髪をピンクに染めたこともあったんですが、スカーフをして母親には隠し通しました」

 昨年11月のパリ同時テロの標的に近い場所で公演を行うことにも迷いはなかった。「率直に語ることが大事」という思いがあったからだ。

 イスラム教徒は自分たちのことを説明するのにコメディーを活用すべきだとミルザさんは言う。「ユダヤ人やアイルランド人がテロリスト扱いされた時代もそうだった。困難な状況に陥った時は、笑い飛ばさなくちゃ」(c)AFP/Fiachra GIBBONS