【3月15日 AFP】内戦が続くシリアで、破壊の危機に直面している文化遺産をデジタルデータ化する取り組みの強力な後押しを受け、同国の最も壮観な考古学的遺跡の一部を復元した3次元画像が15日、オンラインで公開される。

 昨年、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されているシリアのパルミラ(Palmyra)遺跡が、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によって爆破され、世界中で激しい怒りを呼んだ。こうした事態を受け、フランスのデジタル測量技術者チームは、シリアの考古学者らと協力し、同国の最も有名な遺跡の一部のデジタル地図を作成する取り組みを進めている。

 詳細なスキャンデータが作成された最も有名な建造物としては、首都ダマスカス(Damascus)にあるイスラム教第4の聖地といわれる、8世紀に建てられたウマイヤド・モスク(Umayyad Mosque)と、戦火で破壊された都市ホムス(Homs)近郊にある十字軍時代の城塞「クラック・デ・シュバリエ(Krak des Chevaliers)」の2つが挙げられる。

 仏新興企業Iconemが開発した写真測量技術は、地中海沿岸のジャブレ(Jableh)にあるローマ時代の円形劇場や、世界最古のアルファベットの証拠が発見された古代の港湾都市ウガリット(Ugarit)のフェニキア遺跡を記録するためにも用いられた。

 Iconemの技術者チームは、シリアの主要な博物館収蔵品の一部をデジタル化するために、シリア政府文化財博物館総局(DGAM)の専門家15人と協力して作業を進めてきた。

 5年に及ぶ内戦の間に、何百もの重要な文化遺産が略奪、破壊された。古代の砂漠の町パルミラにあるベル神殿(Temple of Bel)とバール・シャミン神殿(Temple of Baal Shamin)への破壊行為に対しては、世界中から非難の声が上がった。