【3月15日 AFP】インスタグラム(Instagram)上で一躍人気を博したモデルのGENKING(ゲンキング)こと田中元輝(Genki Tanaka)にとって、ヘアアクセやリボン、化粧品の扱いはお手の物だ──。GENKINGは、若い男性が従来の規範に挑み、臆することなくフェミニンなスタイルを取り入れる「ジェンダーレス」ファッションの旗手として注目を集めている。

 1930年代に世界的ファッションデザイナー、ココ・シャネル(Coco Chanel)が乗馬を愛好する顧客らにパンツルックを提案してからというもの、女性がメンズウエアを身に着ける例は枚挙にいとまがない。だが欧米では、男性がスカートをはけば、今でも眉をひそめられるのが実情だ。

 一方、アジアの多くの地域では、ユニセックスの服に長い歴史を見ることができる。南アジアのサルワール・カミーズやマレーシアのサロン、日本の着物がいい例だろう。また、男性演者だけの歌舞伎や女性だけの宝塚といった伝統ある舞台演劇でも、男女の枠を超えたパフォーマンスが脈々と伝わっている。

 GENKINGのブリーチブロンドのロングヘア、くっきりカールしたまつ毛、ウイメンズウエアとメンズウエアを分け隔てなく着こなしている様子をみれば、「ジェンダーレス」を自称していることもうなずける。

 幼い頃ファッションに目覚め、「シャネル(Chanel)」の財布やパステルピンクのアクセサリーに憧れを抱いていたというGENKING。「うちのお母さんが、子どものやりたいことは何でもやって良いよという人だったんですが、僕自身がずっとオネエな部分を認めなくて隠してたんですよ。20歳までは」と自らの生い立ちについて話した。

 その後、インスタグラムにアカウントを立ち上げ、自身のスタイルを紹介するセルフィー(自撮り写真)を投稿したところ、85万人近いフォロワーを獲得。また、テレビタレントとしても活躍を始めた他、昨年の東京ガールズコレクション(TGC)では大勢の観客を前にモデルとしてランウェイに立った。

 GENKINGの他にも、モデル兼デザイナー、タレントのこんどうようぢ(Yohdi Kondo)やモデルのりゅうちぇる(Ryucheru)といった「ジェンダーレス」男子らも登場している。彼らは、スクールガール風の三つ編みをして頬にはチークを入れ、ピンクのふわふわセーターを着こなすという、かつてなら若い女性限定だった「カワイイ」スタイルを取り入れている。