【3月14日 AFP】米大統領選の共和党指名候補争いで首位を走るドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は13日、自身の選挙集会で緊張が高まっているのは自らの過激な発言が原因ではなく、「暴徒ら」に責任があるとの見解を改めて主張した。

 トランプ氏はこれまでの選挙運動で、反対派を激しく非難すると同時に、支持者らに対しては、自身に抗議する人々への暴言や乱暴な扱いを繰り返し奨励。共和、民主両党の対立候補らは、トランプ氏のこうした発言が暴力行為を誘発していると非難している。

 共和、民主両党の指名候補争いでは15日、フロリダ(Florida)、オハイオ(Ohio)、イリノイ(Illinois)、ミズーリ(Missouri)、ノースカロライナ(North Carolina)の5州で予備選が行われる第2のヤマ場を迎える予定で、米メディアはこの日を「スーパーチューズデー2(Super Tuesday 2)」と呼んでいる。

 トランプ氏がノースカロライナ州で先週開いた選挙集会では、抗議活動を行った男性が警官に会場外に連れ出される際にトランプ氏支持者の男に殴られる事件が発生。トランプ氏はその後、この男の裁判費用を負担することを自身のスタッフに検討させると述べ、暴力容認をほのめかした。

 イリノイ州シカゴ(Chicago)では11日、トランプ氏の選挙集会が行われる予定だった会場の内外で、同氏の熱烈な支持者と反対派の人々が衝突。選挙集会が中止される事態となった。

 さらに12日にも、オハイオ州デイトン(Dayton)で行われた選挙集会で、トランプ氏の演説中に男が檀上に登ろうとして取り押さえられる騒ぎがあった。翌日に同州シンシナティ(Cincinnati)で行われた選挙集会では、檀上の周りをシークレットサービスや警察官が取り囲み、依然として緊張状態が続いている。

 米政界では、今年の大統領選でのマナー悪化や分断に対する懸念が高まっており、民主、共和両党の政治家らは、トランプ氏が有権者の怒りにつけ込んでいるとして、同氏に対し挑発的な発言を控えるよう訴えている。反トランプ派の特別政治活動委員会(スーパーPAC)は13日、トランプ氏が自身に抗議する人々について「顔にパンチを食らわせてやりたい」などと語る姿を集めたテレビCMを放映した。

 だがトランプ氏は、選挙演説における自身の過激な表現が暴力行為を過熱させているとの批判を真っ向から拒絶。13日、米NBCテレビに対し「私の責任ではない。私はいかなる形であろうと暴力は容認しない」と語った。

 トランプ氏はさらに、暴力行為の責任は、主に民主党の指名獲得を目指しているバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員とつながりがある運動員らにあるとの持論を改めて展開。ツイッター(Twitter)上でも、「バーニー・サンダースは、自分のかく乱者たちに私の集会に行くよう指示はしていないと言っているが、それは嘘だ。バーニー、気を付けないと、私の支持者らがお前のところに向かうぞ」と威嚇した。

 トランプ氏は、オハイオ州の選挙集会で取り押さえられた男について、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」とつながりがある人物だと主張している。だが、その根拠として使用した動画が悪ふざけで作られたものであったことが明らかになったにもかかわらず、主張撤回を拒否。NBCに対し「私がそれについて何を知っているというんだ?」「インターネット上にあることしか知らない」と語った。(c)AFP/Michael Mathes