【3月12日 AFP】ドイツのメディアは11日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の離反者から提供されたISメンバーの個人情報を含むとされる約2万2000人分の文書に、フランス・パリ(Paris)で昨年11月に発生した同時テロで多数の死者が発生した劇場「バタクラン(Bataclan)」攻撃に参加したイスラム過激派戦闘員3人の名前が掲載されていたと報道した。

 北ドイツ放送(NDR)、西ドイツ放送(WDR)およびミュンヘン(Munich)の日刊紙・南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)の報道によると、ISの登録名簿の中には、パリの同時テロ実行犯サミ・アミムール(Samy Amimour)、ファウド・モハメド・アガド(Foued Mohamed-Aggad)、オマル・イスマイル・モステファイ(Omar Ismail Mostefai)各容疑者の名前が含まれていた。

 文書に含まれていた3人の容疑者は、昨年11月13日に発生し、フランス史上最悪の被害を出したテロ攻撃において、バタクランで銃と自爆ベストを使い90人を殺害した。

 2万2000点におよぶIS戦闘員のデータは英テレビ局スカイニューズ(Sky News)がIS離反者から入手したもので、ドイツの研究機関が同じデータを入手したと述べていたが、データの多くは重複していたという。

 同研究機関によると、登録名簿にはISに参加した戦闘員の名前や住所、電話番号、家族の連絡先、血液型、母親の旧姓や、シャリア(イスラム法)の理解度や経歴などが含まれており、戦闘員の出身地は欧州、米国、ロシア、インドネシア、南アフリカ、トリニダード・トバゴなど多岐にわたる。

 ドイツ連邦警察は10日、同様の文書を入手したとして、このデータが本物である可能性が極めて高いと指摘していたが、専門家の中にはデータの信ぴょう性を疑う声もあり、注意すべきだと警告している。

 ドイツの報道によると、文書の中には旧友や非行青年らを勧誘し、パリの同時テロを計画・実行したアブデルハミド・アバウド(Abdelhamid Abaaoud)容疑者に関する間接的な言及も行われていたという。また同文書によると、モハメド・アガド容疑者は2013年12月18日、14人の男とその家族を含む、異様に多いフランス人イスラム過激派を伴ってIS支配地に到着したという。(c)AFP