【3月10日 AFP】韓国の首都ソウル(Seoul)で、歴史ある同市最大の水産市場を総工費5億ドル(約570億円)の未来的な建物へ移転する動きに対し、店主らが反対している。反対派は、45年間慣れ親しんだ、不規則に広がる年季の入った市場のままでいいと主張している。

 鷺梁津水産市場(Noryangjin Wholesale Fisheries Market、ノリャンジン水産市場)はソウル南部の高層ビルが密集する地区にあり、同市のランドマークであるとともに観光スポットでもある。

 市場を運営する水協(Suhyup)は、すぐ横に建てられたイルカ形でガラス張りの最先端の建物に市場を移転したいとしている。運営側は現在の市場について、時代遅れで効率が悪いうえに、構造的にも危険だと主張している。一方、店主らは、新しい建物の店舗面積はあまりにも狭く、賃貸料は高額すぎると反発している。

 移転は「鷺梁津のブランドを完全に崩壊させてしまだろう」と、現在の場所で市場を改修することを支持する店主らの組合の代表は言う。

 鷺梁津水産市場の移転計画は、東京の築地市場の移転をめぐる状況と重なる。築地は今年、新しい現代的な施設へと移転する。

 現在の鷺梁津水産市場の面積は6万6000平方メートル。韓国で1982年に夜間外出禁止令が解除されて以降、24時間365日営業で、1日に3万人が訪れる。

 移転先の新しい複合施設はまったく違うものになるだろう。水産市場に加えて、川の景観が見渡せるしゃれたレストランや、ライブコンサートを催すこともできるテラスカフェなどが入るという。